フォーラム, よくある質問,一般用語
よくある質問:

Q:どのようにして私がステロイド外用剤依存症であるかわかりますか?
A:以下の項目のうち1つか2つだけあっても、ステロイド依存症の可能性があります。
  1. 湿疹にステロイド外用剤が効かなくなり、
    同じ結果を得るためには、より強力なものが必要だった。
  2. ステロイド外用剤の使用を止めた時、赤くなり、日焼けしたようになり、熱く感じ、
    腫れて、滲出液がにじみ出るなどした。
  3. 湿疹が制御不能となり、拡がった。
  4. 多くの検査で、問題の原因となるアレルゲンや刺激物を確認できなかった。
  5. 皮膚生検をして、特異所見が何もないか海綿状態の皮膚炎の所見を示した。
  6. 数週間から数十年間依存症になるくらいの期間
    ステロイド外用剤を常用してきた。
Q:体の一部のみを脱ステロイドできますか?
A:はい。もし身体の狭い部位に少量のみ使用した場合なら、全身の脱ステロイドを経験しないですむかもしれません。
しかし皮膚は1つの臓器であり、狭い範囲にのみステロイド外用剤使ったときに、
離れたところの湿疹、じんま疹かまたはよくない反応がたびたび出ます。
個人ごとに異なった反応をします。

Q:脱ステロイドの最も一般的な症状は何ですか?
A:これらの症状はステロイド使用の中止後に起こります。
また、全ての症状が全ての人にみられることはなく、
1つか2つの人もいれば、全てか、それ以上の人もいます。
  1. 停止後1週間以内に赤いやけどのような皮膚なる。
    (影響を受けない白い手のひらと前腕の下部にあらわになる赤みが現れるには何週間もかかります。)
  2. 皮膚が腫れる、組織液を含む部位が腫れる。
  3. 皮膚から浸出液が出る。
  4. 皮膚に痒みがある。
  5. ひりひりする痛みを伴う皮膚は酷い日焼けのように感じ、あらゆるものに敏感になる。
  6. 全身の皮膚が変調をきたす。
    乾燥性の湿疹、蕁麻疹、痒みのある皮膚が違ったステロイドを使わなかった場所にまで拡がる。
    皮膚は1つの臓器であり、そのため一部が変調をきたすと、皮膚全体に影響が及ぶ場合があります。
  7. 身体、足、手などに冷え性がある。体温調節機能が変調をきたす。
  8. 皮膚炎悪化の後か脱ステロイドの終わりの過程での疲労困憊、不眠、食欲不振。
  9. 皮膚が極度に乾燥しプラスティックのようになる。
  10. 皮膚の落屑が大量に剥落する。
  11. 気の狂いそうな痒みがある。
Q:脱ステロイドにはどのくらいの期間がかかりますか?
A:最悪の症状を伴う初期の脱ステロイドは、ステロイド外用剤の使用期間と強さによりますが、通常数週間から数ヶ月続きます。
使用期間、強度、使用部位の全てが、治癒にかかる期間に影響します。
深谷医師は完治するには、ステロイドを使用した期間の10~30%かかると考えています。
しかし、酷い症状が脱ステロイド期間中、常に出続けるという訳ではありません。
多くの患者さんは脱ステロイド中、皮膚炎悪化の後に症状が鎮まったり、休止の期間を経験します。
脱ステの過程が進むにつれて、通常、皮膚炎悪化の期間は短くなり弱まっていきます。
脱ステロイドで、日に日に治癒に向かっていきます。

Q:本当に誰もが治癒し、回復するのでしょうか?
A:ラパポート医師と深谷医師は、数千人もの患者がレッドスキンシンドローム、 治療の難しいステロイド誘発性湿疹から完全に治癒し、
ステロイド依存症と脱ステロイドから回復するのを見てきました。
私たちのフォーラムにも、治療された人々が幾人も居ます。
私たちはこれをHealing Honor Roll(治療成績優等生名簿)と呼んでいます!

Q:フレアとは何ですか?
(訳者注:flareとは揺らめく炎という意味であり、皮膚炎が一気に暴発するように悪化する状態)
A:フレアは皮膚が赤くなり、じくじくし、腫れて、皮膚の厚みが増し、とても痒くなり、
病んだ皮膚がさらに悪化するか"停滞している"状態です。
フレアは数日から数ヶ月続きます。
フレアが治まると、皮膚は乾燥して剥がれ落ち、プラスチックのように感じたり、とてもざらざらした状態になり、
依然痒みは残るが、赤くなっていた時よりも痒みが減ります。
一方、過程が終了するまで"穏やかな"期間がまったくなく軽い離脱の症状が続く場合もあります。

Q:離脱の間、働く(学校に行く)事はできますか?
A:ほとんどの人がステロイドを断つ( = ラパポート医師が推奨する唯一の方法)時に起こる酷い症状により、
寝込んだり外出できない状態になります。
休業または仕事の負担を軽減して、離脱期間のために準備するのが最も良いでしょう。
いつかITSANの働きにより、脱ステロイドのために短期もしくは長期的な障害休暇が認められる事を願っています。
また、脱ステロイド中の子どもの介護者は他のスケジュールを調節しなければなりません。
米国にはこれらのことに助けになりうる504プランと呼ばれるものがあります。
その情報へのリンクは以下です。
http://specialchildren.about.com/od/504s/f/504faq1.htm

Q:喘息の吸入ステロイド薬を使っていると、離脱は難しくなるでしょうか?
A:ラパポート医師は、
「若干の妨げになり得ますが、止めるよりもむしろもし生きていくために必要であれば、使ってください。
いくらかのわずかな吸収があることは明らかであり、私は喘息の気管支も依存になると感じています」
と述べています。

Q:脱ステロイドの症状と通常の湿疹の違いは何ですか?
A:離脱の過程が完了するまで、通常の湿疹と離脱による湿疹の違いを見分けるのは難しいでしょう。
というのは、TSW中には、湿疹は身体のどこにでも・・ステロイド外用剤を使用した部分とは離れた場所にも現れるからです。
また、"元来の"湿疹が、ステロイド誘発性のものでないか見分ける事も難しいでしょう。

Q:ステロイドを使用してもどのくらいの期間なら安全ですか?
A:多くの医師と薬剤師は、患者さんに伝えませんが、
全てのステロイド外用剤は、決して2週間以上使用すべきではありません。
ほとんどの湿疹は、食生活や環境の変化によっておのずと治癒できます。
ステロイドは最後の手段として使用されるべきです。
なぜなら、ステロイドを使う際の副作用についての記載された文書の裏付けがなく、
それらは綿密な研究試験管理が行われる前に市場に出回っているという事実があるからです。

Q:脱ステ中、一時的にステロイドを使用しても構わないでしょうか?
A:ラパポート医師はノーと言っています。
ステロイド使用は治癒を遅らせ、すべての使用は累積されるからです。
血管は"記憶"し、リバウンドはさらに厳しいものになるかもしれません。

Q:ステロイドを徐々に減らすべきか、禁断症状になっても突然中断すべきでしょうか?
A:これまでに述べてきた事に基づいて、ラパポート医師が推奨するのは即時に中断する方法です。

Q:皮膚の下のしこりは何でしょうか?
A:多くの人々は脱ステロイド中、皮膚にしこりができます。
医師に確認されるこれらの多くは、炎症と闘っているリンパ腺かまたは掻いて腫れた毛包のどちらかです。
何はともあれ、各自が主治医に診察してもらう事をお勧めします。

Q:なぜ、ステロイドを止めたとき灼熱感があるのでしょうか?
A:ステロイド外用剤を使用している間収縮していた血管が使用中止で"広く開いて"炎症が起き、
高濃度の酸化窒素が焼けるような感覚を引き起こすからとも考えられています。

Q:脱ステロイド中の患者が使う最も一般的な保湿剤は何ですか?
A:ラパポート医師は、ワセリンを推奨しますが、
一部の人はそれを嫌い、オリーブ、ココナッツ、ホホバや、その他の純粋な油のような天然オイルを使っています。
脱ステ中、皮膚は非常に敏感になっており、そのため複数の成分が含まれる製品は刺激になり、皮膚炎を起こすことがあります。

Q:痒みと安眠のために何ができますか?
A:ラパポート医師はアタラックス、ジルテック、ベナドリル、あるいは睡眠補助薬、抗不安薬さえも勧めています。

Q:パニックに陥ったり、不安を感じますが大丈夫ですか?
A:脱ステロイドを経験した多くの人がこのようなことを感じたことがあります。
恐ろしく長い経過で、身体の最大の臓器を巻き込み、外観や正常な機能の能力に影響を及ぼします。
ラパポート医師は、脱ステロイド中の患者さんを診療する医師としてパニックに陥っている人との電話でのやり取りは
大切な仕事のうちの一つであると述べています。
(恐らくこれがほとんどの皮膚科医がステロイド外用剤で患者を治療し続ける理由です)
私達のフォーラム、Facebookグループや、その他のオンライングループで脱ステロイドについて話し合う事は助けになり得ます。

Q:とても鬱になったり、死にたくなったりするのは正常ですか?
A:もしこのように感じたら、直ちにカウンセラーと話をすることが大切です。

Q:なぜピンや針で刺されるようなどこの部位ということもなくチクチクする感じがあるのですか?
A:すべての人がこの症状を持っているのではなくて、一部の人にあります。これは血管が治癒してきているからだと考えられています。

Q:神経が損傷しているのでしょうか?
A:ラパポート医師はノーと述べています。

Q:ラパポート医師は、多少の日光浴は皮膚が治りやすくなると言っています。このことについて詳しく教えていただけますか?
A:彼は"涼しい環境下の日光浴"を推奨し、
これは皮膚が脱ステロイド過程の後半に限られて用いられます。
それはフレアが止まり、皮膚が乾燥し、皮膚の厚み増し、紅~淡紅色でない状況です。
多少の紫外線は皮膚を乾かし、ステロイドでダメージを受けた皮膚を正常に戻すことに役立ちます。
しかし、熱すぎたり、長時間すぎる日光浴には注意して下さい。時間は10分から始めて20分までがお勧めです。

Q:脱ステロイドの過程をよりスムーズに進めるために役立つ推奨事項は何ですか?
A:まず、その過程と症状をもっとも上手に治療することを説明しているラパポート医師の記述を全て読んで下さい。
ほとんどの人はステロイド外用剤の使用中止を決定し、思ってもみなかった症状の強さを経験し、圧倒されます。
過去のステロイドの使用頻度と期間にもよりますが、
どこでも2~4ヶ月間は、あなたの不快レベルは就労不能かまたは家事ができない程とても高くなるでしょう。
また、まだ脱ステロイドをしてなければ、最初に一緒に計画を立てられるので好都合です。
そして、治療の負担を分かち合えるパートナーや介護者がいると、とても助かります。
仕事をされている場合は、休職あるいは短期の有給休暇がとれるかどうか調べて下さい。
お子さんの場合は、脱ステロイド中はおそらくしばらくの間、学校に通う事は出来ないでしょう。

環境の調整
・・睡眠パターンが乱れます。
これは、最初に人工的な合成ステロイドが身体から排除された後に経験するコルチゾールレベルのバランスの失調によるものです。
おそらく何度も不快感で目覚め、睡眠し難くなることに気づき、起床も非常に遅くなるでしょう。
このため、日中でも寝室を暗いままにしたくなるでしょう。
例えば、アルミ箔で窓を覆って暗くして下さい。
出来るだけたくさん癒しの睡眠をとることは回復にとって重要で、朝の光で早く目覚めるようにする必要はありません。
また血液で染みついて頻繁に洗われることになるので、治った時に処分できる清潔なシーツを数枚用意して下さい。
また皮膚の剥落が沢山ありますので、掃除機でベッドを清潔にして下さい。

用意すると役立つ物
  1. ドメボロ液     滲出液の出た皮膚を乾燥させて収斂(引き締め)する。
                (訳注:日本では入手不可、代替品として亜鉛華単軟膏、亜鉛華デンプンetc.)
  2. 皮膚軟化剤    ヤシ油のような単一成分の製品、ワセリンが最も良いでしょう。
               ・・最適なものを見つけるために試してみるべきです。
               皮膚軟化剤は皮膚の状態により変わってきます。
               一般的に多数の成分からなる保湿剤はより皮膚に刺激性になりやすいと受け止められています。
               脱ステロイドは湿疹ではなく、
               湿疹に対する治療は一般的に効かないで刺激になりやすいということを念頭に入れておいてください。
  3. 氷嚢(保冷剤)          腕や首を覆えるより大きいものが良い。氷は痛みや腫れ、痒みを軽減します。
  4. 痒みには抗ヒスタミン剤    処方薬の抗ヒスタミン薬であるヒドロキシジン(アタラックス)がよく使用されています。
                       市販薬であるジルテックまたはベネドリル(レスタミン)も使用されます。
  5. 衣類・・柔らかくゆったりした綿製品  長袖とズボンを着用すると掻きすぎから守ってくれるという人もいれば、
                             逆に衣類を身に着けることが不快で服は最小限にするという人もいます。
                             衣服の選択は、脱ステロイドの段階に応じて変わっていくでしょう。

最後に・・心構えはとても役立ちます。
離脱の終わりは症状が変わりやすく、時にこのことがもどかしく思えたりします。
フレアは1時間で収まる場合もあれば、一日中続く場合もあります。
一時的に酷くなっても悲観する必要はありません。明日ははるかに良いと感じるかもしれません。


Q:なぜステロイドを一度も使っていない部位に症状が出てくるのですか?
A:皮膚は一つの臓器ですので、別の場所に使用していたとしても皮膚全体が影響を受ける事になります。

Q:何が激しい痒みを引き起こすのですか?
A:痒みは、多くの人にとって最悪の症状です。
(itsan.orgのリソースページ痒みの管理を参照してください)
皮膚の深い層が治癒するとき、傷が治癒する時のように痒くなります。
また、掻く行為がリンパ系の流れを促し、治癒に有効であるという説もあります。

Q:妊娠中に脱ステロイドすることは安全、あるいは良い時期でしょうか?
A:ほとんどのステロイド外用剤は、
FDA(アメリカ食品医薬品局)によりカテゴリーC(動物実験で胎児への有害作用が証明されている)であり、
優れた安全性評価ではありません。
妊婦の方は、ステロイドが胎児に及ぼすダメージと、妊娠中の脱ステロイドの過程がいかに厳しくなるかを
比較検討しなければなりません。

FDAによるカテゴリーC:
動物実験では胎児への有害作用が証明されていて、適切で対照のある妊婦への研究が存在しないもの。
しかし、その薬物の潜在的な利益によって、潜在的なリスクがあるにもかかわらず妊婦への使用が正当化されることがありうる。

Q:ブドウ球菌感染症は脱ステロイド中に一般的なのでしょうか?
A:いいえ、しかし脱ステロイドに不慣れな多くの医師は、黄色または透明な"滲出液"を感染症であると考えますが、
ラパポート医師は、一般的にそれは感染ではないと言います。
我々は皆、皮膚に黄色ブドウ球菌を保菌しており、黄色ブドウ球菌陽性の培養成績が返ってきたとき、
多くはブドウ球菌感染症と診断されますが、現実には感染ではありません。
とても赤く、じくじくしている時に、皮膚を清潔に保つためにドメボロ液の使用が推奨されます。
(ドラッグストアで入手可能、訳注:日本では市販されていない。)
感染しているように見えるものに注視することが大切であり、増加する発赤、熱、腫れと圧痛は感染症の兆候であると見て、
これらの症状が発生した場合は直ちに医師の手当てを受けてください。

Q:子供に抗ヒスタミン薬と鎮静剤を使用しても大丈夫でしょうか?
A:これは主治医と相談されるべきですが、小児の使用について禁忌である抗ヒスタミン剤があります。

Q:身体から滲み出る液は何ですか?
A:これは漿液性滲出液で、血管が拡張した時に押し出される組織液(間質液)と考えられています。

Q:長期間ステロイド外用剤を使用すると、誰もが依存に陥るのでしょうか?
A:いいえ、アトピー体質の人が最も依存に陥りやすく、使用は累積的なので、
短期間で依存性になる人もいれば、数十年かかる人もいます。

Q:なぜ以前はまったく問題がなかった物に対してアレルギーになるのでしょうか?
A:脱ステロイド中、皮膚が単に非常に敏感になっているためです。脱ステロイド後は正常に戻ります。
それが脱ステロイド中のアレルギーテストが正確でない理由です。

Q:TSWが完了し治癒した後、湿疹が出る事はありますか?
A:ほとんどの場合ありませんが、脱ステロイドが終わるまでは判りません。
脱ステロイドが終わってから、あなたはもっと正確に何が原因となっているか決定できます。
軽症の湿疹は、脱ステロイドや、ステロイド誘発性湿疹や、ステロイドがあなたの健康に及ぼすダメージよりも、
はるかに御しやすいものです。

Q:ラパポート医師の他に、ステロイド外用剤依存症、脱ステロイドを扱う医師のリストはありますか?
A:私たちは、脱ステロイドを通して治療できる医師のネットワーク作成に取り組んでいます。
それまではどうか良い一般開業医を見つけ、彼らにラパポート医師の論文を見てもらう事をお勧めします。

ITSANは501 C 3非課税チャリティー ( = 米国の非営利公益法人)として米国のIRSによって承認されています。
お問い合わせはinfo@itsan.orgまで。
ITSANの役員、従業員、ボランティアは医療アドバイスを提供しています。ステロイド外用剤依存と離脱についての個人的経験に限り、このネットワークで共有されます。
あなた自身の治療を捜して下さい。

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